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同事 (Doji)
始値と終値がほぼ等しい一本。実体を持たない十字の足は、その期間の引き分けを記録する——買い方と売り方が均衡した、市場の沈黙の証拠である。
ローソク足同事十字線ドージ迷い転換
概要
同事(どうじ)は、始値と終値がほぼ等しい一本のローソク足である。実体は線のように細く、十字に見えることから「十字線」とも呼ばれる。日本のローソク足分析において、最も古く、最も重要な単独形のひとつだ。
一日の取引が終わってみたら、寄り付きと引けがほぼ同じ値段だった——という事実だけがそこに記録される。値幅の中でどれほど激しい売買があったとしても、終わってみれば「振り出しに戻った」。同事はその一日の引き分けの記録である。
形状
How to Read · 使い方
OANDA:USDJPY
実体はほぼ存在せず、上下にヒゲのみが伸びる。ヒゲの長さと位置によって、いくつかの変種に分類される。
| 変種 | 特徴 | 主な含意 |
|---|---|---|
| 標準同事(Standard Doji) | 上下ほぼ均等のヒゲ | 均衡・迷い |
| 足長同事(Long-legged Doji) | 上下とも長いヒゲ | 大きな振れ幅の中での均衡。極度の迷い |
| トンボ(Dragonfly Doji) | 下ヒゲのみ長く、上ヒゲなし | 一度大きく売られたが押し戻された。底圏で強い反転シグナル |
| トウバ(Gravestone Doji) | 上ヒゲのみ長く、下ヒゲなし | 一度大きく買われたが叩き返された。天井圏で強い反転シグナル |
| 四値同事(Four-Price Doji) | 始値・高値・安値・終値がすべて同値 | 完全な凪。市場参加者の消失 |
実体の有無ではなく、ヒゲの形が物語を変える。同じ「実体なし」でも、トンボとトウバでは意味が正反対になる。
出現する場面
同事の意味は、出現する位置に完全に依存する。
- 強いトレンドの末端で出現 → 転換の予兆。一方向に押し切ってきた相場が、初めて押し切れなくなった瞬間
- レンジ相場の中で出現 → 単なるノイズ。迷いがすでにあるところに、もう一つ迷いを重ねただけ
- 重要なサポート・レジスタンス付近で出現 → その水準で攻防が拮抗した記録。次の足の方向が極めて重要
- 節目価格(キリの良い数字、過去の高安)で出現 → 市場が一度立ち止まった証拠
「同事が出たから反転」ではなく、「トレンドの末端で同事が出たから反転を疑う」のが正しい読み方である。
売買判断
同事は単独ではエントリーシグナルにならない。「次の足で確認する」のが基本的な使い方だ。
- 上昇トレンドの天井圏で同事 → 翌日が陰線でブレイクしたら売り検討
- 下降トレンドの底圏で同事 → 翌日が陽線でブレイクしたら買い検討
- 損切りは同事のヒゲの外側に置く。ヒゲの先まで否定されたらパターンは無効
トンボやトウバなど、ヒゲが片側に極端に偏った同事は、それ自体が方向性を示唆するため、確認の足を待つ必要が比較的小さい。ただし、それでも一本だけで決め打ちはしない。
市場心理の読み解き
注意点・限界
関連パターン
- ローソク足の解剖学 — 実体とヒゲの読み方の基礎。同事はその極限形
- 三川宵の明星 (Evening Star) — 二本目に同事を含むと、宵の明星型として信頼性が高まる
- ハンマー・首吊り線 — トンボ同事はハンマーと同じ心理を示す
関連指標