アラン・ハルが二〇〇五年に発表した移動平均線。重み付き移動平均を二重に組み合わせ、遅延を抑えながら滑らかさを保つ。数学的にはあり得ない両立を、ひとつの式で近似する試み。
ハル移動平均(Hull Moving Average、HMA)は、オーストラリアのトレーダーであるアラン・ハルが二〇〇五年に公開した移動平均線である。設計の目的は単純で、しかも欲張りだ。移動平均の最大の弱点である「遅延」を抑えつつ、価格の細かなノイズに振り回されない滑らかさをも維持すること。
通常、この二つは両立しない。期間を短くすれば反応は速くなるが、ノイズに対して過敏になる。期間を長くすれば滑らかにはなるが、反応が遅れる。トレーダーが慢性的に悩まされてきたこのトレードオフに対し、ハルは「重み付き移動平均(WMA)を二段重ねにする」という巧妙な工夫で解を提示した。完全な解ではない(後述するように代償はある)が、視覚的には驚くほど素直な線が得られる。
短期売買、特にスキャルピングやデイトレードで、ローソク足のターニングポイントを早く拾いたい層に支持されている。標準パラメータは九、一六、二一あたりが用いられる。