「裁量=感情、システム=合理」という通説の再考。明文化された基準と取引記録を伴う裁量は、相場変質と新規パターンに対する構造的な優位を持つ。ただし規律なき裁量は感情の言い換えに過ぎないと明示する。
How to Read · 使い方
OANDA:USDJPY
トレード界隈では、この対比がほとんど反射的に語られる。
裁量トレードは感情に左右される。システムトレードこそ合理的で、初心者はシステムから始めるべきだ。
この語り口には、二つの混同が含まれている。
第一に、「裁量=判断者の頭の中にだけ基準があるトレード」と、「裁量=基準が存在しないトレード」を混同している。 多くの個人トレーダーが行っている裁量は、後者だ。エントリー理由を聞かれて「なんとなく」「下げ止まりに見えた」と答える。これは裁量ではなく、ただの当てずっぽうである。
第二に、「システム=感情のないトレード」と思い込んでいる。 だが、システムトレードのルール自体は、誰かの裁量で設計されている。バックテストで「勝率の高そうな」期間を選び、最適化しすぎたパラメータを採用する判断は、人間の心理が混入する余地だらけだ。
正確には、こう書き直すべきだ。
明文化された基準と取引記録を持たない裁量は、感情の言い換えに過ぎない。一方で、明文化された基準を持つ裁量には、システムにはない構造的な優位がいくつか存在する。
How to Read · 使い方
OANDA:USDJPY